Co.山田うんの3年ぶりの新作公演。今年(2019年)に加わった6人のメンバーも参加。8曲の「前奏曲」の音楽で、オムニバス形式のダンスが展開する。群舞、ソロ、デュオ、トリオなどが交錯し、短編映画や短編小説集のような味わい。
最後から2番目の「牧神の午後への前奏曲」以外では、何もないシンプルな舞台に、ダンサーたちはゆったりとしたアースカラーの衣装。1960年代のアメリカやフランスなどの映画っぽく見えるシーンも。振り向いた顔、交わす視線、ぶつかりそうでぶつからない疾走、つないだと思ったら強引に引っ張る手、乗っかり合う身体が、無言のストーリーを紡ぎ出す。特定の物語を語ってはいないけれど、自由に想像していいよと言われている感じがした。
あんなふうに舞台で思いっきり駆けてみたい。でもコントロールをきかせているんだろうな。
カタルシスがすごい。2度ほど泣きそうになった。
ダンサーたちがみんな魅力的でかっこいい。女性より男性が多いコンテンポラリーダンスは少し珍しい気がした。意識的にそうしたのか、たまたまなのか。バレエとかの基礎がしっかり入っているように見え、身体能力が高い。
「牧神の午後への前奏曲」では、バス停、雲、大きなトラ(?)のぬいぐるみ、舞台袖に天井まで届きそうな巨大なキリンのような動物などの舞台セットが現れる。舞台の奥の壁が持ち上がり、自然を思わせる模様の付いた別の壁が現れる。舞台セットはダンサーたちが持ってきて、最後には片付けていく。この曲では動物っぽい動きもあって、「牧神」なのだろうか。ニジンスキーへのオマージュのような動きもあったように思う。
たぶんこの作品は何度見ても良いと思う。また見たい!
地に足の着いた身体に信頼が持てるというか、頭の中のごちゃごちゃが落ち着いていって、ダンサーたちの身体の動きと透明になった自分がシンクロして、安心感が自分の体の中に広がる。この作品を見ながら、ダンスにはこういう効用があるのではないかと改めて実感した。
<楽曲>
I. ニュルンベルクのマイスタージンガー第一幕へのプレリュード(1867年)
リヒャルト・ワーグナー作曲
II. ヴァイオリンとピアノのための24のプレリュード Op. 46(2003年)
レーラ・アウエルバッハ作曲
III. 左手のためのプレリュード(1894年)
アレクサンドル・スクリャービン作曲
IV. 24のプレリュード作品53(1988年)
ニコライ・カプースチン作曲
V. 二台の四分音ピアノのための24のプレリュード 第5番(1934/70年)
イワン・ヴィシネグラツキー作曲
VI. 10の前奏曲作品23第2番変ロ長調(1903年)
セルゲイ・ヴァシリエヴィチ・ラフマニノフ作曲
VII. 牧神の午後への前奏曲(1894年)
クロード・ドビュッシー作曲
VIII. ローエングリン 第三幕へのプレリュード(1850年)
リヒャルト・ワーグナー作曲
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【振付・演出・構成・美術】山田うん
【出演】飯森沙百合、川合ロン、河内優太郎、木原浩太、黒田勇、田中朝子、西山友貴、仁田晶凱、長谷川暢、望月寛斗、山口将太朗、山崎眞結、山根海音、吉﨑裕哉
上演時間 約1時間(休憩なし)
2019/5/24(金) 19:00、 5/25(土)18:00、5/26(日)15:00
一般 4,700円/当日 5,000円
高校生以下 3,000円/当日 3,300円
U24 3,700円
友の会会員割引 4,500円
せたがやアーツカード会員割引 4,600円
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