若手振付家・ダンサーたち「Dance New Air 2018ダンスショウケース 」ショウケース(スパイラル1F)

<久保田舞×今枝星菜>

真っすぐコンテンポラリーダンスに向かっていく感じで結構好き。ショウケースの中に観客を入れて、一人のダンサーがもう一人のダンサーの足に触れるときに観客の足にも触れたりする。2人の関係や体の探り方の見せ方も上手。


<浜田純平>

自ら録音した(?)ラジオ番組風の音声をかけ、おもちゃの線路を組み立て、電車を走らせる。何度も線路を組み替える。焦燥感。スーツケースと電車で、旅を表している?ダンスというより演劇的か。音声や仕草のせいか、ナルシシズムを感じ、それがやや鑑賞の妨げに。


<亀頭可奈恵/tantan>

開始前に正面の壁に貼られた紙の文字(日本語と英語)を読んだ観客が「scary」と発言。猿ぐつわを装着した髪の長い女性たちが、しゃべろうと声を出したり、暴れたり、口笛に応じて制止したり。女性への抑圧というテーマが浮かび上がる。不気味で魅力的。


<中村駿>

羊の毛刈りの実況中継が大音量で流れる。その中で体に緊張感をみなぎらせて動き回るダンサーは、羊か、それとも毛を刈る人か?鑑賞する私たちは、毛刈りショーを見る共犯者なのか?

ショーが終わったと思ったら、羊が現れた。中村は、突如現れた羊をいじめ、不自然なほどの笑顔で陽気に踊りまくる。ストリートダンスの見事な技も披露。観客から歓声が上がる。

訳が分からない。だが抜群に面白い。笑いが込み上げるが、妙な罪悪感が湧いてくる。


<佐藤有華>

良い意味で、奇をてらわない動き。そう動きたい気持ち、説明はできないけれど、分かる分かる、というような。

ゆっくり這いたい気持ち。髪を編んではほどくのを繰り返したい気持ち。

無意味な有意義。なくてもいいが必要なこと。

終演すると、一人の女性が出てきて、ダンサーの横に並んで一緒にお辞儀。

では、真摯と思った動きは、ダンサー自身のものではなく、別人の振付家によるものだったのか。そんな裏切りも楽しい。振付家とダンサーが共に生み出した動き。


<田村興一郎>

自転車をめぐって2人の人が、力関係のバランスを探る。物が自立するかどうかのバランスや安定と、人間関係のバランスや安定とが、対比されている。

他のダンサーの「ダンスショウケース」では正面のガラス扉が開かれていたが、この公演では正面のガラス扉が閉められていたので、ダンスがガラスの中に「展示されている」という印象が強くなる。

最初にダンサーたちが外からショウケースの場に入ってきてドアを閉め、最後はドアを開けて出ていった。

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