ピナ・バウシュ『嘆きの皇太后(Die Klage der Kaiserin/The Complaint of an Empress)』映画

コンテンポラリーダンス、タンツテアターの振付家でダンサーのピナ・バウシュが監督した、1990年の映画『Die Klage der Kaiserin/The Complaint of an Empress/嘆きの皇太后』。自身が主宰するヴッパタール舞踊団のダンサーたちが出演しているようだ。

決まったストーリーはなく、シーンの断片がコラージュのように組み合わされている、1時間10分程度の作品。ちょっとエキセントリックで、シュルレアリスムの映画を思わせる。

バニー姿の女性が胸をさらけ出して草原をうろうろ。下半身は下着だけ身に着けて、高いヒールで闊歩する女性。

動物(ヤギ?)の角をつかんで引きずったり、泣きわめく赤ん坊や子どもを連れまわしたり、今なら動物虐待や児童虐待と見なされそうな場面もある。

男性が一人で重そうな家具を運んだり、人(子ども?)を木に通したひもで引っ張り上げたり、女性が男性の両肩に乗って立った状態で男性がゆっくりと歩いたり、女性が薄着で雪が降る中(?)ほほ笑みながら踊ったり。

劇のようなシーンもあったが、せりふはドイツ語が主(?)で、内容は分からなかった。

見てはいけないものを見てしまったような。自分がダンサーの親だったら心配するだろうな、と思った(笑)。

しかし、こうした動きや感情の実験のようなところから、ピナ・バウシュのダンスが生み出されていったのかもしれない。そう思うと興味深い。

この貴重な映像を、今、オンラインで誰でも無料で見られることはありがたい。


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Pina Bausch (1940-2009)

Die Klage der Kaiserin (1990) aka The Complaint of an Empress

Filmed on location in Wuppertal, Germany, between October 1987 and April 1989.

Performed by the Wuppertaler Tanztheater: Mariko Aoyama, Anne Marie Benati, Benedicte Billiet, Rolando Brenes Calvo, Antonio Carallo, Finola Cronin, Dominique Duszynski, Mechthild Grossmann, Barbara Hampel, Kyomi Ichida, Urs Kaufmann, Ed Kortlandt, Beatrice Libonati, Anne Martin, Dominique Mercy, Jan Minarik, Helena Pikon, Dana Sapiro, Jean-Laurent Sasportes, Mark Sieczkarek, Julie Ann Stanzak, Mark Alan Wilson, and others.

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