韓国の伝統舞踊・音楽を専門とする韓国国立舞踊団が、フィンランドのコンテンポラリーダンスの鬼才テロ・サーリネンに振付を委嘱し、生まれた作品「VORTEX」の来日公演。
「VORTEX」は「渦動」という意味だそうだ。ソロから始まって、2人の踊り、4人の踊り、群舞などと移り変わり、エネルギーが変遷しながらラストに向かって渦のように高まっていく。
まず、照明がすごい。冒頭、半円形の暗闇の中で1人で踊るダンサーとその影が大きく映し出される場面では、ダンサーが舞台のはるか上、高い場所にいるのかと思っていたら、実際は舞台上の低い台の上で踊っていたのだった。照明の効果で、壮大なスケールの舞台セットかと錯覚してしまったのだ。その後の照明にも、終始、舌を巻いた。舞台・照明デザインは、Mikki Kunttu氏によるもの。
そして、生演奏と歌の音楽もすごい。チャン・ヨンギュ氏が率いる音楽バンド「Be-Being」によるもの。楽器は、韓国の伝統的なものなのだろうか、舞台上の下手で演奏家たちが奏でていた。1人の女性歌手による歌も素晴らしく、舞台上でダンサーにリフトされるなど、中心となっている場面もあった。おそらく韓国の伝統民謡の、聞き覚えのあるメロディーの歌も歌われていた。
男女数十人のダンサーたちは、遠目ながら、みんなスタイルが良く美しい身体だったようだ。ところどころ眠気も襲ってきたが、特に群舞では、迫力のある、思わず身を乗り出すような場面もあり、興奮を覚えた。
ラストで、ダンサーたちが声を出しながら動き回り、物を打ち鳴らして音を立てると、エネルギーが最高潮に達した。かっこよかった。
振付は、バレエっぽい西洋の動きをがベースになっていたと思うが、流れるような動きが特徴的で、韓国の伝統舞踊らしい動きと思われる、足で地を踏みしめるような、腰を低くした姿勢も入っていた。
【振付】テロ・サーリネン
【音楽・演奏】Be-Being
【出演】韓国国立舞踊団
2019年10月25日(金)~2019年10月27日(日)
KAAT 神奈川芸術劇場 ホール
10月25日(金)貸切公演
10月26日(土)15:00 ◎
10月27日(日)15:00
◎印の回は託児サービスあり。公演1週間前までに要予約・有料。
上演時間 約80分(休憩なし)
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