森山開次「NINJA」新国立劇場 小劇場

2015年公演「サーカス」に続く、新国立劇場での森山開次による、子どもも楽しめるダンス第2弾。テーマは「忍者」。踊りを彩る音楽、映像、照明、衣装も素晴らしい。

前半が約40分、20分の休憩をはさんで、後半が約45分の、2時間近くの作品。

全体を通したストーリーがあるようではなく、屋敷かどこかに忍び込む忍者たち、手裏剣を投げる忍者たち、殿様や姫の登場、アマガエルやナメクジのシーン、忍者同士の(?)一騎打ちなどの場面が続いていく。

簡単なナレーションやせりふが少し入り、人物(動物)の特性を表す分かりやすい衣装が用いられ、ちょっとしたマジックのような場面もあり、ダンスもアクロバティックな動きや繰り返しや音楽とリズムの合った軽快な動きなど、子どもに分かりやすいように振り付けられている。しかし、意外となまめかしい動きもあった。

新体操のリボンや、特に座布団を使った群舞など、小道具の使い方も巧み。

舞台上の映像や照明はプロジェクションマッピングのように凝っていて、それを存分に生かした演出だった。一瞬で場面が転換し、臨場感が増す。

終盤で森山開次氏が登場し、闘いを繰り広げる場面は迫力と緊張感があり、圧巻。前半はやや間延びした感もあったが、後半はしっかりと引き締まっていた。

男性ダンサーたちが活躍し、女性ダンサーたちの見せ場は少し「お飾り」っぽかったのが、どことなくモーリス・ベジャールの作品を思わせた。ダンスの内容は全く違うが。

幼いころから、このような、子ども向けに作られてはいるが現代の一級の演出・振付家が真剣勝負で作った新作ダンスを見る機会を提供することは重要だ。しかも、東京だけでなく、全国の数カ所で上演されるという。小学生以下の子どものチケット料金が比較的手頃なのも良い。


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演出・振付・アートディレクション・出演:森山開次

出演:浅沼 圭、中村里彩、引間文佳、藤村港平、宝満直也、美木マサオ、水島晃太郎

音楽:川瀬浩介

映像:ムーチョ村松

照明:櫛田晃代

衣装:武田久美子

音響:黒野 尚


2019年5/31(金)19:00、6/1(土)14:00、6/2(日)12:00 / 16:00、6/5(水)19:00、6/7(金)19:00、6/8(土)14:00、6/9(日)12:00 / 16:00


A席:大人5,400円(中学生以上)、子ども(4歳~小学生)2,700円/B席:大人(中学生以上)3,240円、子ども(4歳~小学生)1,620円

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