ギター:日渡奈那、ヴァイオリン:笠井友紀、ダンス:上村なおか。
半円状の空間で座席から近い距離で生演奏とダンスを鑑賞できる贅沢なイベント。
タイトルが「Bird in a Cage」ということで、ジョン・ケージなどの音楽を演奏。音楽会にはあまり行かないが、ギターとヴァイオリンという組み合わせが面白い。柔らかな響きと甲高い音、うっとりする。眠りの世界へと誘われる心地よさ。ジョン・ケージということで前衛的な音楽を予測していたが、ほとんどが通常の音楽らしい(?)曲だった。
上村なおかさんは、白いワンピースに、背中に長い黒いひものような飾りの付いた衣装。この衣装の効果もあって、そっとふるふると震えるような動き、ふわっとした息遣い、くるくる飛び回る動きなどで、だんだん人ではなく鳥に見えてくる。ニジンスキーの「牧神の午後」を思わせるポーズもあった。
床には長い赤いリボンが何本か交差して置いてある。最初はそのリボンを踏まないように、よけながら踊っていた。まだかごの中におとなしく収まっているかのように。しかし最後にはそのリボンを足で踏み引っ掛けて乱していく。もうとらわれていることに満足できず自由を求めているかのように。
「とらわれていると同時に守られている」というコンセプトなのだそうだ。それは美術館に収蔵されている美術品の姿でもある。
世田谷美術館は「美術大学」と称する講座などユニークな試みで知られるが、ダンスのワークショップなども行っていたとは。海外でも盛んな、美術館でのダンスのパフォーマンスは、日本の美術館でもしばしば開催されている。私にとっては「好き×好き」の組み合わせだ。美術館を「作品の墓場」と呼ぶ人もいる。必ずしもそうは思わないが、生きた人間が美術館に侵入して踊り出すことで作品も改めて呼吸し出すかもしれない。
<ナイトシェード>は、スイスで活動する日渡奈那さんとドイツで活動する笠井友紀さんのプロジェクト。今回の、ダンサーの上村なおかさんとの企画は、すてきなハーモニーになっていた。
見ていると、頭と体の中が無になっていった。時間の感覚が空間の中に溶け込んでいった。公演が終わった瞬間、文字通り夢から覚めたように「はっ」とした。
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2019年4月20日(土)18:00
4月21日(日)13:00/16:00
一般:予約3000円/当日3500円、小中高大生:予約1000円/当日1500円
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