白井剛、前後(神村恵+高嶋晋一)etc.「Mitaka! SCOOL!! 2nd Anniversary!!!」SCOOL

三鷹駅の南口から延びる中央通りの商店街の中に建つ昭和っぽい建物の5階にある「SCOOL」というスペースの2周年記念イベント。ジャンル分けするなら、演劇1組、ダンス2組、音楽1組だが、ダンスは話したり演奏して歌ったりもしていて、アートパフォーマンスにも見えるものもあった。土日の2日間開催され、それぞれ出演者が異なる。


2019年4月14日(日)18:00開演の出演者は、以下の通り(出演順)。

わっしょいハウス

前後(神村恵+高嶋晋一)

Phew

白井剛


予約3,000円 当日3,500円(+1ドリンクオーダー)


■わっしょいハウス

『木星の日面通過(わっしょいハウスVer.)』

作・演出:犬飼勝哉

出演:浅井浩介、犬飼勝哉、善長まりも

3人による演劇作品。たばこを吸っている2人の男性会社員と、たばこへの嫌悪感を語る同僚の女性会社員。2人と1人は別々に語っているようでいて、次第に交差する。オフィスでの表向きの顔と裏の本音の顔。人に見られたい自分像と人から見えている自分の姿。人への気持ちが正反対の方向へ切り替わる瞬間。誰にも身に覚えのある状況と感情を面白おかしく少し不気味に表現する。


■前後(神村恵+高嶋晋一)

『subjunctive mood lesson(仮定法のレッスン)』

ダンサーの神村恵さんと美術作家の高嶋晋一さんのユニット。冒頭でこれから何をするかの説明がまずあった。幾つかの物を使い、物と人が最初と最後でどういう形を作るかを、一方の人がもう一人に指定する。指定された人は、その最初と最後の形をつなぐ動きをやって見せる。事前にある程度決めておいた動きと思われるが、かけ合い、ツッコミなども入れながら、即興的に行っているように見せていく。「これはダンスなの?」となりそうなところを、高嶋さんの正直な身体、神村さんの緊張感のある身体と真摯な動きが、一連のパフォーマンスをダンスにしている。一見淡々としているようで真剣勝負、真面目だけどちょっとふざけている、ような絶妙のバランスが妙な空気感を生んでいて、よい。


■Phew

ご自身の生声にエフェクトをかけた音と電子音楽による音楽(だと思う)。風がうなっているような音や歯科医院での機械音のような音に、時折リズムを刻む感じ?コンテンポラリーダンスを全然見たことがない人が初めてコンテンポラリーダンスを見るときの気持ちはこんなふうかなあと思いながら聞いていた。私にはよさがよく分からないが、ああいう、いわゆる歌ではない音楽はどうやって作るのだろう?何かのイメージから膨らませるのか、即興的にその場で感じたままに音を出しているところもあるのか、1曲1曲はだいぶ違った感じになるのか、どれも似ているのかなど、いろいろ気になる。


■白井剛

SCOOLで開催された『1.26 反原発集会』で発表したソロ・ピース & more

フランスの「バニョレ国際振付家賞」を受賞した振付家・ダンサー。2018年10、11月にVACANTで開催された「アフォーダンスの効用(ききめ)」に参加されていた方。『1.26 反原発集会』は行きたかったが行けなかったので、今回、この作品を見られてよかった。

おそらくバリバリのリズムダンスを踊ろうと思えば踊れる方なのだろう。リズムに乗った踊りと、意表を突く動きで構成するダンス、声による言葉と、アルミホイルや椅子やペットボトルの水などの小道具、最後にはギターを弾きながらの「この木なんの木(日立の樹)」の替え歌などを、自在に組み合わせながら、ユーモラスであり社会に対して批評的でもある作品として展開する。

原発をこのような作品にすることは勇気が必要だと思う。不愉快に思う人、傷つく人がいるかもしれないことも引き受けた上での創作、上演なのだろう。原発を「擬人化」したり、その「気持ち」に寄り添ってみようとする試みは、このようなパフォーマンスといったものだからこそ可能で、ニュース番組や新聞記事などとは異なる視点を与えてくれる。(漫画家の萩尾望都さんは漫画作品で表現していた)

会場の隅にあるトイレまで使ったパフォーマンスに、いい意味で凝り固まった頭と感覚をガチャガチャにされた感じ。社会規範や常識を軽やかに飛び越える「良識」を見た。


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